2026-03-25

車両の型式指定と個別検査の制度構造と費用分解を整理する。

制度の構造

 二つの経路

車両は公道走行前に保安基準適合の確認が必要になる。方法は二つに分かれる。型式指定と個別検査。前者はメーカー単位で車種をまとめて認証し、後者は車両ごとに検査を通す。

型式指定
・対象 量産車
・主体 メーカー
・効果 以降の個別検査が簡略化される

個別検査
・対象 少量輸入
・主体 輸入者
・効果 1台ごとに適合確認

制度は台数ではなく検査単位で設計されている。台数が増えると型式指定が有利になるが、制度上の切替ラインは存在しない。

 

費用の内訳

試験と仕様変更

費用は大きく二つに分かれる。試験費と仕様変更費。型式指定の場合は試験項目が広く、個別検査は対象が限定される。

型式指定の費用要素
・衝突試験
・ブレーキ性能
・耐久
・電磁適合
・騒音

費用感
・数億円規模
・衝突試験が最大項目

個別検査の費用要素
・灯火
・ブレーキ
・騒音
・EMC
・電気安全

費用感
・1000万〜3000万円

仕様変更
・灯火位置
・速度計
・反射板
・右ハンドル化

仕様変更費
・数百万〜2000万円

試験費と仕様変更費は独立して発生する。試験で不適合が出ると仕様変更が追加される構造になる。

 

採算との関係

台数と固定費

費用は固定費として先行する。回収は販売台数に依存する。

個別検査モデル
・初期費 2000万〜5000万円
・回収台数 50〜150台

型式指定モデル
・初期費 2億〜5億円
・回収台数 3000台以上

1台あたり利益が小さい場合、必要台数は増加する。小型低価格車は固定費負担が相対的に重くなる。

一方で、個別検査は1台目の試験を通過すると、同一仕様に限り後続車両の負担は小さくなる。完全な比例関係ではなく、初期集中型の費用構造になる。

制度上の選択は、台数ではなく固定費と単価の関係で決まる。型式指定は費用が大きいが量産時の効率が高く、個別検査は初期負担が小さいがスケールに制約がある。